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ソフトバンクと安川電機、「使うほど賢くなるロボット」をフィジカルAIで実証

30秒サマリー

  • ソフトバンクCTOが「購入時が最も性能が低い」ロボットへの転換を宣言
  • NVIDIAのCosmos・Omniverseを活用した自動学習ループで一夜にして精度が向上
  • 2030年以前の社会実装を目指し、現場データの活用が企業経営の鍵と強調

何が起きたか

ソフトバンクと安川電機は2026年7月14日、「SoftBank World 2026」において、フィジカルAI分野での協業の成果を発表した。ソフトバンクCTOの湧川隆次氏は、強化学習によって使うほど性能が向上するロボットへの移行を「大きなパラダイムシフト」と表現し、「購入時の性能が最も低い」という従来の常識を覆す姿を描いた。

実証デモでは、形状が変わるワイヤハーネスの箱詰め作業を題材に、実機データの収集・合成データ生成(NVIDIAのCosmos)・シミュレーション評価(Omniverse)・実機展開というサイクルを自動で繰り返す「学習ループ」を披露。安川電機の久保田由美恵氏は「昨夜寝ている間に学習し、今朝さらに上手になっていた」と述べた。

役割分担として、現場状況を判断するVLM(視覚言語モデル)をソフトバンクのインフラ側に、動作生成のVLA(視覚言語行動モデル)をロボット側に配置する構成を採用。物流倉庫での隠れた物品の推測・取り出し作業なども実証済みとしている。協業の発端はソフトバンク側の打診で、2025年12月の「2025国際ロボット展」(iREX2025)での展示に向けて約半年で成果を出し、正式発表に至った。

ソフトバンクの湧川氏はイベント後の取材で「2030年を待たずにフィジカルAIを社会実装したい」と述べ、久保田氏も「AIを搭載したロボットが出てきてまだ3年。基盤モデルの活用でできることが加速的に増えていく」と展望を示した。

原典ハイライト

湧川氏の「データは現場にある。AI時代においては現場データをどう学習ループに入れ込むかが企業経営で重要」という発言が協業の核心を示している。また、一夜の自動学習でロボットの精度が向上したというデモの結果は、学習ループの実用性を裏付ける具体的な事例として注目される。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

ロボットが「導入後に性能が下がる資産」から「使うほど価値が増す学習資産」へと転換しつつある。これはロボット投資の評価軸そのものを変える可能性があり、現場データの蓄積・管理が製造業や物流業における新たな競争優位の源泉になり得る。

日本企業への示唆

日本の製造業・物流業の経営者は、ロボット導入コストの回収期間や費用対効果の算定方法を見直す必要がある。現場データをどれだけ蓄積・活用できるかが、同じロボットを使っても企業間で性能格差を生む時代が到来しつつある。自社の現場データをAI学習に活用できる体制(データ収集基盤・外部パートナーとの連携)を早期に整えることが、今後の競争力に直結する。また、ソフトバンクのようなGPUインフラ事業者と、安川電機のような現場実装ノウハウを持つロボットメーカーの垂直連携モデルは、自社がどちら側のパートナーと組むべきかを検討する際の参考になる。

背景・経緯

安川電機は1997年に全電気式産業用ロボットを市場に投入した老舗ロボットメーカー。ソフトバンクは国内に大型AIデータセンター・分散型AIデータセンター・エッジAIサーバ基盤を保有する。両社の協業はソフトバンク側の打診から始まり、2025年12月のiREX2025での展示を契機に正式発表へ至った。フィジカルAI(ロボットなど物理世界で動くAI)分野は、原文によれば「AIを搭載したロボットが出てきてまだ3年」という新興領域とされている。