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旧マルハニチロのUmios、AIで販売計画を自動化し年間4200時間削減・予測精度95%を達成

30秒サマリー

  • Umios(旧マルハニチロ)がAWSの時系列基盤モデル「Chronos-2」を活用し、販売計画作成を自動化
  • 全国拠点でバラバラだったデータ入力運用を整備し、データ品質問題を解消して予測精度95%を実現
  • 成功の鍵は「モデル選定より運用設計」と「AIと人間の役割分担の明確化」にあると担当者が強調

何が起きたか

食品メーカーのUmios(旧マルハニチロ)は、担当者の経験や勘に依存していた販売計画作成業務の自動化プロジェクトを推進し、2026年6月に本格稼働を開始した。業務用カテゴリーだけで商品数600品目以上を抱え、計画策定に年間約2500時間、欠品・過剰在庫対応に約1700時間、合計約4200時間を費やしていることが業務棚卸しで判明したことがプロジェクトの出発点となった。

同社が採用した時系列基盤モデル「Chronos-2」はAmazon Scienceが開発した事前学習済みモデルで、自社でゼロからモデルを構築する必要がなく、Amazon SageMaker JumpStart経由で容易にデプロイできる点が選定理由として挙げられた。システム構成は既存のデータベースやBIツールに手を加えず、AI予測エンジンをアドオンする形の日次バッチ処理を採用した。事前に事業部と「一致率80%」を本格採用基準と合意した上で検証した結果、定番品の年累計ベースで予測一致率95%を達成し、合格ラインを大幅に上回った。

データ品質の問題解消には特に注力した。全国の支社・拠点で入力運用ルールが統一されておらず、入力漏れが多発していたため、生成AIを活用して簡易入力アプリを内製開発し、データの自動連携を整備した。また、在庫処分による安値販売データを学習データから除外するなど「どのデータをAIに渡さないか」の設計が精度向上に大きく寄与したと担当者は説明している。

原典ハイライト

DX推進部の浦本和司氏は「効果はデータ品質が左右する」「技術選定より運用設計に時間をかける」「現場が回る運用を事業部と作る」の3点をプロジェクトの学びとして挙げ、「どれほど優れたAIモデルでも、現場に活用されなければ価値を生まない」と強調した。同プロジェクトは、AIが予測のたたき台を出力し、人間が現場目線で確認・修正して最終確定する役割分担を明確に設計している。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

本事例が示すのは、AI導入の成否を左右するのはモデルの性能よりもデータ品質と運用設計だという点だ。「合格ラインの事前合意」「現場が使いやすい入力環境の整備」「渡すデータの取捨選択」という地道な準備が、予測精度95%という具体的な成果につながった。また、工数削減を精度向上より優先するという方針設定が、現場の混乱を防ぎ短期間での本格稼働を可能にした実践的アプローチとして注目される。

日本企業への示唆

日本の製造業・食品業界でAI需要予測の導入を検討する企業にとって、まず取り組むべきは「自社のデータが本当にAIに渡せる品質か」の棚卸しだ。拠点ごとに運用ルールが異なるケースは珍しくなく、入力アプリの内製開発など現場の利便性向上からアプローチしないと精度は上がらない。また、「一致率80%を合格とする」といった定量的な合格ラインを事前に経営・事業部門と合意しておくことが、プロジェクト停滞を防ぐ実務的な備えになる。「AIで何ができるか」でなく「理想の業務フローにAIをどう組み込むか」という発想の転換が、着実なDX推進の出発点となりうる。

背景・経緯

Umiosは旧マルハニチロを前身とする食品メーカー。同社は2025年12月にAWSからChronos-2の提案を受け、2026年2月に予測検証を本格化、同年6月に本格稼働を開始した。本稿はAWSが主催した「AWS Summit Japan 2026」(2026年6月25〜26日開催)での同社担当者による講演をもとに構成されている。