30秒サマリー
- ユニバーサル・ソニー・ワーナーの3大レーベルがAI楽曲をチャートから除外する基準を提案
- 「実質的に人間が制作」などの条件を満たさない限り国際チャート対象外とする内容
- IFPIが支持を表明したが、チャート運営機関はまだ採用の意向を示していない
何が起きたか
ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージック・グループを含む複数のレコードレーベルが、AI楽曲のチャート適格性に関するルールを提案した。提案の骨子は、生成AIを用いて制作された楽曲を、特定の基準を満たさない限り国際チャートから除外するというものだ。
具体的な基準として、使用した生成AIサービスが適切に認可・合法であること、楽曲が「実質的に人間によって制作された(substantially human made)」こと、ストリーミングやチャートの不正操作の懸念がないこと、著作権・関連権・パーソナリティ権を含む法規制への準拠、AIサービスの利用規約違反がないこと、そしてデジタルストリーミングプラットフォームなど下流サービスにおいてAI使用を消費者に適切に開示することの6項目が列挙されている。
この提案は、RIAA(全米レコード協会)やIFPI(国際レコード産業連盟)、SAG-AFTRAなどが別途打ち出しているAI楽曲の「ラベリング基準」より踏み込んだ内容となっている。IFPIはレーベル側の提案を支持したが、原文執筆時点でいかなるチャート運営機関も採用の具体的な計画を示していない。なお、「実質的に人間が制作した」の定義や具体的な判断基準は現時点では曖昧であり、UMG・ソニー・ミュージック等は取材に対しコメントを返していないと原文は伝えている。
原典ハイライト
レーベルの提案では、生成AI楽曲が公式チャートに掲載されるには6項目すべてを満たす必要があると明記。IFPIも支持を表明したが、チャート運営機関側の対応は未定。
出典: The Verge(報道)
So What?(なぜ重要か)
音楽業界の最大手が「AI楽曲=チャート対象外」という明確な線引きを公式に提案したことで、ストリーミング収益やチャート実績を収益モデルの根幹に置く音楽ビジネス全体に制度的な変化が生じる可能性がある。ただし「実質的に人間が制作」という基準の曖昧さは、今後の解釈次第でアーティストや制作会社に大きな影響を与えうる。
日本企業への示唆
日本の音楽プロダクション・レコード会社・著作権管理団体にとっては、国際チャートや海外ストリーミングを視野に入れた楽曲制作フローの見直しが急務になりうる。AIツールを制作に活用している場合、使用しているサービスの利用規約確認と学習データの権利クリアランスが不可欠となる。また、ライセンス許諾済みAIサービスの選定・開示体制の整備を今から進めておくことで、ルールが正式採用された際の対応コストを抑えられる。
背景・経緯
RIAAやIFPIなどの業界団体はすでにAI楽曲へのラベリング標準化を検討していたが、今回の提案はそれを上回り「チャート除外」という実効的な制裁を伴う点で踏み込んだ内容となっている。チャートはストリーミング収益・プロモーション・契約交渉に直結するため、業界全体への波及力は大きい。





