30秒サマリー
- AWSが独自モデルとマネージドFMを混在させたエージェントワークフローの実装手順を公式ブログで解説
- Qwen3.5 9B(SageMaker)とClaude(Bedrock)を単一コンテナで協調動作させる構成を紹介
- SageMakerエンドポイントのトークン可視化には手動のOpenTelemetryスパン実装が必要と明示
何が起きたか
AWS機械学習公式ブログは、Amazon SageMaker AIとAmazon Bedrock AgentCore runtimeを組み合わせてマルチエージェントワークフローを構築する実装方法を解説する記事を公開した。記事は、マネージドの基盤モデル(FM)とコスト最適化・ドメイン特化の自社モデルを、エージェントフレームワークを書き直すことなく混在させる際の課題に対処する内容となっている。
紹介されるアーキテクチャは、オーケストレーター役のClaude Haiku 4.5(Bedrock)、50/30/20予算分析担当のClaude Sonnet 4.6(Bedrock)、株式分析・ポートフォリオ構築担当のQwen 3.5 9B(SageMaker AI)という3つのエージェントを単一のBedrock AgentCoreコンテナ上で連携させる構成だ。Qwen 3.5 9BはvLLM DLCを使いml.g6e.2xlarge(L40S GPU)にデプロイし、SageMakerのOpenAI互換エンドポイント経由でStrands Agentsフレームワークから呼び出す。
記事が特に詳しく解説するのが、SageMakerエンドポイントのトークン使用量の可視化問題だ。Bedrock AgentCore runtimeはOpenTelemetryによる自動計装を備えるが、Bedrock経由のモデル呼び出しは自動でトークン数が記録される一方、SageMaker上のOpenAI互換エンドポイントはgen_ai.chatスパンが生成されず、トークン消費量がトレースに現れない。この問題を解消するには、ツール関数内でカスタムのOpenTelemetryスパンを手動実装し、Strandsの`result.metrics.accumulated_usage`からトークン数を取得してスパン属性に付与する必要がある。さらにvLLMはデフォルトではストリーミングレスポンスにトークン使用量を含まないため、OpenAIModelのparamsに`stream_options: {“include_usage”: True}`を必ず指定しなければ、accumulated_usageは常にゼロのままとなることも解説されている。
原典ハイライト
「Amazon BedrockのモデルはBedrock呼び出しを通じた完全なgen_aiスパンが自動取得されるが、SageMakerのOpenAI互換エンドポイントは自動計装がgenerativeAI呼び出しと認識しないため、Qwen 3.5 9Bのトークン消費がトレース上で完全に不可視となる」――これがブログ記事の核心的な指摘であり、カスタムスパン実装の必要性と`stream_options`設定の必須化が具体的なコードとともに示されている。
出典: AWS Machine Learning Blog(公式ブログ)
So What?(なぜ重要か)
本記事が示す意義は2点ある。第一に、クラウドのマネージドFMと自社ファインチューニングモデルを「どちらかではなく両方」使えるアーキテクチャパターンが、AWS公式レベルで実用化・文書化された点だ。コスト最適化や規制対応でモデルを使い分けたい企業にとって、参照実装として活用できる。第二に、観測可能性(オブザーバビリティ)のギャップが明示されたことで、SageMakerモデルを含む本番エージェントシステムの運用コスト管理・品質監視に必要な追加実装が明確になった点だ。自動計装を過信すると、コストの一部がモニタリングの死角に入るリスクがあると編集部は判断する。
日本企業への示唆
日本企業への示唆は3点ある。①独自の日本語特化モデルをSageMakerで運用しながら、汎用タスクはBedrock上のClaudeに任せるハイブリッド構成を取る際に、本記事の実装パターンが直接参照できる。②SageMakerエンドポイントのトークン計測には手動実装が必要なため、コスト管理担当部門はオブザーバビリティ設計をシステム要件として事前に定義する必要がある。③ベアラートークンの有効期限管理(SageMakerAuthクラスによる自動リフレッシュ)やリクエスト毎の新規エージェントインスタンス生成(シングルトン回避)など、本番運用上の細かな落とし穴が整理されており、PoC段階から本番移行を検討する際のチェックリストとして活用できる。
背景・経緯
Amazon Bedrock AgentCoreはAmazon Bedrockのエージェント実行基盤機能であり、SageMaker AIはAWSのMLモデルホスティングサービス。Strands AgentsはAWSが推進するオープンソースのエージェントフレームワーク。本記事はこれらを組み合わせた実装解説であり、各サービス自体の新規ローンチを告知するものではない。記事公開時点(2026年8月取得)のコードはGitHubリポジトリで公開されているとのことだが、詳細はブログ原文を参照のこと。






