30秒サマリー
- SaaS・AIの普及で、銀行融資の判断軸が過去の決算書から現在のデータと将来シナリオへ移行しつつある
- 01銀行と北國銀行の幹部が「事業の見える化と透明な情報開示が融資獲得の鍵」と指摘
- AIが銀行間で標準化されれば、差別化の焦点は『どのデータを集めるか』の質に移る
何が起きたか
2026年6月16日にfreeeが開催したイベント「freee 統合ワールド 2026」のセッションで、融資特化型デジタルバンクの01銀行(大阪府吹田市)副社長・大塚篤史氏と、北國銀行(金沢市)常務執行役員の竹内均氏が、中小企業向け融資の変化について見解を語った。
01銀行の大塚氏は、これまで中小企業の事業実態が「社長の頭の中にしか入っておらず、銀行から見るとブラックボックス」になっていたと指摘。SaaSなどのビジネスツールで自社データを見える化し、銀行と共有する仕組みを作ることが融資を引き出す上で極めて重要になると述べた。さらに、AIから的確なアドバイスを引き出すためにも、データ整備が前提になると強調した。
北國銀行の竹内氏は、かつては企業が都合の悪い情報を隠す駆け引きがあったとしながらも、現在はスタートアップのように足元が赤字であっても「先行投資だから将来こうなる」というシナリオをデータとともに示す姿勢が求められると語った。また、AIの技術はいずれどの銀行でも標準化され差別化要因にならなくなるとし、差がつくのは「どんなデータを集めるか」という質と中身だと述べた。定量データをオンラインで広く集めるアプローチと、定性データや対話を重視するアプローチの両方があることにも言及した。
原典ハイライト
01銀行大塚氏「銀行が一番怖いのはお客さまが見えないこと」、北國銀行竹内氏「AIそのものでは差別化できなくなる。差がつくのはデータの質と中身」——両者とも、企業側の透明な情報開示とデータ整備が融資環境を大きく左右するとの認識で一致した。
出典: ITmedia AI+(報道)
So What?(なぜ重要か)
銀行融資の評価軸が「過去の決算書・担保」から「現在のリアルタイムデータ・未来のシナリオ」へシフトしつつある。情報を抱え込む経営スタイルは融資機会の損失に直結するリスクがあり、デジタルツールによる経営データの可視化と積極的な開示が、資金調達力の差として表れる時代が近づいている。
日本企業への示唆
日本の中小企業・経営者にとって、会計・経営管理SaaSの導入は単なる業務効率化ではなく「融資獲得のインフラ」として位置づけ直す必要がある。具体的には、売上・キャッシュフロー・受注状況などのリアルタイムデータを常時整備し、銀行に対して将来の事業計画をエビデンスとともに説明できる体制を整えることが、金利交渉や融資枠拡大の交渉力につながる。また、取引銀行との定期的な対話(いわゆる「伴走」関係の構築)を戦略的に設計することも、資金調達コストの低減に直結しうる。
背景・経緯
従来の中小企業向け融資は、決算書による財務評価と担保の有無が主な判断材料だった。SaaSの普及によって企業経営データがデジタル化・蓄積されるようになり、銀行がリアルタイムの経営実態を参照しやすい環境が整いつつある。本記事の内容はfreeeが2026年6月16日に開催したイベント内のセッションに基づいており、登壇者は01銀行と北國銀行の幹部。







