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日立、メインフレーム専用OS「VOS3」販売・保守終了へ AI活用モダナイゼーションに軸足

30秒サマリー

  • 日立製作所がメインフレーム向けOS「VOS3」の販売を2027年11月、保守を2034年12月に終了すると発表
  • 2017年のハード製造終了から約9年を経て、メインフレーム環境の提供から完全撤退へ
  • 撤退後はAIエージェントを活用したモダナイゼーション事業「powered by Lumada」に経営資源を集中

何が起きたか

日立製作所は2026年6月、メインフレーム向け専用OS「VOS3」の販売を2027年11月に、保守サービスを2034年12月にそれぞれ終了すると発表した。保守終了をもって、同社は自社によるメインフレーム環境の提供から完全に撤退することになる。

日立のメインフレーム事業撤退は2段階で進んだ。2017年にハードウェアの自社開発・製造を終了し、2018年度以降は日本IBMと協業してIBM製ハードウェアをベースにした日立仕様機「AP10000」を販売継続。この間も独自OSであるVOS3の開発・提供は続けてきたが、今回の発表でソフトウェア・保守面での撤退も確定した。

メインフレームは金融・交通などのミッションクリティカル領域を長年支えてきたシステム基盤であり、日立自身も「止めることのできない信頼性と安定性が欠かせない領域」と位置付けてきた。今後同社は、こうした領域を含め基幹システムを刷新するモダナイゼーション事業に注力する方針を示している。

原典ハイライト

日立はメインフレーム撤退後の注力事業として「モダナイゼーション powered by Lumada」を掲げ、AIエージェントを活用した上流工程(システム資産の分析・可視化、要件定義)から、設計書の復元、レガシー言語のモダン言語への変換、データ移行、テスト自動化までを一貫して支援するとしている。ハイブリッドクラウド環境も提供し、データガバナンスやデータ主権の確保も意識した構成を取る方針。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

国内メインフレーム大手の日立が事業撤退を正式に宣言したことは、レガシーシステム維持を前提とするビジネスモデルの終焉を象徴する出来事といえる。同社が撤退後の主軸にAI活用モダナイゼーションを据えたことで、ベンダー側からの「脱メインフレーム」圧力が一段と高まる。ユーザー企業にとっては、2034年の保守終了というタイムラインが移行判断の実質的な期限として機能することになる。

日本企業への示唆

VOS3の保守終了期限「2034年12月」は、現在メインフレームを稼働させている企業にとって移行計画策定の事実上のデッドラインとなる。8年超の猶予があるように見えるが、基幹系刷新には数年単位の要件定義・移行作業が必要であり、早期の着手が不可欠。日立のモダナイゼーション支援メニューに限らず、複数ベンダーの提案を比較検討し、自社のデータガバナンス方針やクラウド戦略と整合したロードマップを今から描くことが求められる。特に金融・交通など規制業種では、監督当局への事前相談や移行テストに要する時間も見込んだスケジューリングが重要になる。

背景・経緯

メインフレームは高信頼・高可用性を武器に金融・流通・公共インフラの基幹系を長年担ってきたが、クラウド・オープン系への移行コスト低減とAI活用ニーズの高まりを背景に、国内外でモダナイゼーションの機運が高まっている。経済産業省は「2025年の崖」レポートでレガシー刷新の遅れがDX推進の障害になると警鐘を鳴らしており、大企業の多数がいまだレガシーシステムを抱える現状が業界課題として続いている。