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NVIDIAがcuObjectとSCADA Server SDKの詳細を公式ブログで解説、AIストレージ標準化を推進

公開:2026年10月2日, 最終更新:2026年10月2日

30秒サマリー

  • NVIDIAがRDMA対応オブジェクトストレージライブラリ「cuObject」の一般提供開始とSCADA Server SDKの概要を公式ブログで解説
  • MicrosoftがxIO-SIGボード参加を予定、Google CloudもcuObjectへの参加拡大を評価中とするなどストレージ標準化の業界連携が進展
  • 40社超が参加するStorage-Nextイニシアティブがオープン標準策定を主導、IBMが統合プロトタイプの相互接続性を実証

何が起きたか

NVIDIAは2026年9月30日付の公式テクニカルブログで、AIストレージアクセスの高速化・標準化に向けた複数の取り組みを解説した。核心となるのは、RDMAワイヤープロトコルを備えたオブジェクトストレージ向けライブラリ「cuObject」のクライアント・サーバー両ライブラリが一般提供(GA)に至ったことと、ストレージプロバイダーがGPU起点のリクエストに対応するサーバーを構築できる「SCADA Server SDK」の提供だ。

cuObjectはCPUを経由せずにGPUから直接オブジェクトストレージへRDMAアクセスを可能にし、高スループット・低レイテンシ・低CPU負荷を実現するとNVIDIAは説明する。業界標準化団体「xio-sig」では、従来のcuFile(ファイルストレージ向け)に加えてcuObjectも対象に拡張される方針で、MicrosoftがxIO-SIGボードへの参加を予定している。Google Cloudについては、cuFileのメンテナーとしての既存関与を踏まえ、cuObjectへの参加拡大を評価中であるとブログは述べている。なお、参加拡大後の具体的な役割については原文では言及がない。

SCADA Server SDKに関しては、IBMがIBM Storage ScaleとSCADAを統合したプロトタイプの相互接続性を実証済みとしており、セマンティック検索・レコメンダーシステム・不正検知などのユースケースへの応用可能性が示された。NANDベンダーやコントローラーベンダー、ストレージプロバイダー、ハイパースケーラー、アプリケーション開発者を含む40社超が参加する「NVIDIA Storage-Next」イニシアティブが、GPU主導のストレージアクセスに関するオープン業界標準の策定を主導しているとブログは説明している。なお、xio-sigのヘッダーやライブラリ実装コードは適合テスト通過後に共有される予定であり、ガバナンス文書は現在審査中とされている。

原典ハイライト

「AI accelerators can access file and object storage using RDMA, without routing data through the server CPU, enabling higher throughput, lower latency, and reduced CPU utilization」——GPUがCPUを介さずストレージに直接アクセスすることで、AIワークロードのデータ転送効率を抜本的に改善する仕組みが標準化される方向性を示している。出典:NVIDIA Technical Blog(https://developer.nvidia.com/blog/expanding-ai-storage-access-with-nvidia-cuobject-and-the-nvidia-scada-server-sdk/)

出典: NVIDIA Technical Blog(公式ブログ)

So What?(なぜ重要か)

編集部の見立てでは、これまでAIストレージアクセスの最大の障壁だった「プロバイダーごとのAPI・プロトコル断絶」に対し、NVIDIAがxio-sigを軸にMicrosoftやGoogle Cloudを巻き込んだ業界標準を形成しようとしている点が重要だ。cuObjectとSCADAが標準として普及すれば、開発者はストレージベンダーごとの個別実装から解放され、AI基盤全体のデータパイプライン設計が大きく変わりうる。ただし標準化プロセスは進行中であり、実際の相互接続性が保証されるまでには時間を要するとみられる。

日本企業への示唆

オンプレミスAI基盤を持つ製造・金融・通信企業は、SCADA対応ストレージベンダーの動向を注視すべきだ。IBMのようにSCADAサーバーSDKを用いた統合プロトタイプを先行実証する動きは、将来的な調達判断に影響する可能性がある。AIシステムインテグレーターは標準仕様確定に先立ち、cuObjectのドキュメントとxio-sigリポジトリを技術評価しておくことで、ベンダーロックインリスクを低減する検討材料を得られる。クラウド利用企業にとっては、Google CloudやMicrosoftがxio-sigに参画することで、将来的にクラウドサービス上でのRDMAストレージアクセス性能が向上する可能性がある点を中長期のインフラ計画に織り込んでおきたい。

背景・経緯

AIモデルのトレーニングや推論では大量データをGPUへ高速供給する必要があるが、従来のストレージアクセスはCPUを経由するため転送がボトルネックとなっていた。NVIDIAはGPUDirect Storage(GDS)やcuFileを通じてこの課題に取り組んできており、今回のcuObjectとSCADAはその延長線上にある取り組みとみられる。xio-sigはストレージI/Oの相互接続性向上を目的とした業界コンソーシアムで、NVIDIAがcuFileのメンテナーとして関与してきた。原文によれば、SCADA関連の発表は2024年OCP Summitでも行われており、今回のブログはその進捗報告の位置づけと読み取れる。