30秒サマリー
- 日立製作所がOpenAIのCodexを活用し、レガシーシステムのモダナイゼーション手法確立に乗り出す
- OpenAIのサイバーセキュリティ向けAIモデルも活用し、脆弱性の特定・修復に活用検討
- 両社は2025年10月に戦略的パートナーシップのMoUを締結済みで、今回はその具体化
何が起きたか
日立製作所は2026年6月17日、米OpenAIとの連携を本格化すると発表した。OpenAIのAIエージェント「Codex」を活用してレガシーシステムのモダナイゼーション手法の確立を目指すほか、サイバーセキュリティ強化にもOpenAIのAIモデルを活用する方針だ。
モダナイゼーション領域では、両社のFDE(Forward Deployed Engineers)が連携し、Codexの解析力と日立のシステム開発ノウハウを組み合わせる。既存コードから上流仕様を可視化し、新システムへの移行テストまでの一連プロセスにAIを適用するアプローチを確立することが目標で、日立の「Modernization CoE」が中核となり「モダナイゼーション powered by Lumada」として金融機関を含む幅広い産業顧客に順次提供する。
サイバーセキュリティ分野では、OpenAIの「Trusted Access for Cyber(TAC)」を通じてサイバーセキュリティ向けAIモデルへのアクセスを取得する予定。OpenAIが発表した「日本サイバー・アクションプラン」の一環として、脆弱性の特定・修復・検証での防御的活用を検討する。日立の「Cyber CoE」が自社内で「カスタマーゼロ」として先行検証を行い、知見をセキュリティ強化に生かすという。
日立は国内だけで約1万5000のミッションクリティカルなシステムを支えてきた実績を持つ一方、熟練エンジニアの引退によるレガシーシステムのブラックボックス化がAIトランスフォーメーション(AX)の障壁になっているとしている。今回の取り組みで得た知見は、次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の高度化にも活用する方針だ。
原典ハイライト
日立は国内約1万5000のミッションクリティカルなシステムを支える実績を持ちながら、熟練エンジニア引退によるブラックボックス化がAX推進の障壁になっていると自社の課題を明示。両社FDEが協働してCodexの解析力と日立のノウハウを組み合わせ、「上流仕様の可視化から移行テストまで」をAI化するアプローチの確立を目指すとした点が核心。
出典: ITmedia AI+(報道)
So What?(なぜ重要か)
国内大手SIerが、コード解析型AIエージェント(Codex)を使ってレガシーシステム刷新を工程全体で自動化・効率化しようとする具体的な取り組みが始まった。単なるAI導入ではなく、上流設計の可視化から移行テストまでを一連でAI化する手法の確立を目指す点は、日本のIT産業全体の課題解決モデルになり得る。サイバー防衛面でも、AIによる脆弱性検出を日立が「カスタマーゼロ」として自社検証する枠組みは、知見の顧客展開を前提とした実証モデルとして注目される。
日本企業への示唆
日本企業の経営者・IT責任者は、2050年問題とも言われるレガシーシステムの担い手不足を「AIによるコード解析・仕様可視化」で突破する実証事例として本件を注視すべきだ。日立が確立する手法が「Lumada」として商用提供される場合、金融・インフラ・製造業など自社の基幹系刷新計画に組み込める選択肢が増える可能性がある。また、OpenAIのTACを通じたサイバーセキュリティAIの活用は、脆弱性管理の自動化・高度化につながる。自社のセキュリティ体制を見直す際、AIを用いた防御的活用の具体的ユースケースとして参考にできる。
背景・経緯
日立とOpenAIは2025年10月、グローバルAIデータセンター拡大を軸とした戦略的パートナーシップのMoUを締結済みで、今回の発表はそのMoUに基づく具体的な協業内容の公表にあたる。日立はこれ以前にもAnthropicとの提携を通じて社会インフラ向けの技術検証を進めており、複数の主要AIベンダーとの連携を同時並行で強化している状況だ(原文関連記事に記載)。

