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日立、「Physical AI FDE」チーム結成——HMAXを社会インフラのOSへ

30秒サマリー

  • 日立製作所がAIソリューション「HMAX」を社会インフラ向けOSとして強化する方針を発表
  • フィジカルAI専門の現場実装エンジニア「Physical AI FDE」チームを新たに結成
  • 電力・鉄道・産業分野の対象市場は2030〜35年合計で数十兆円規模と日立は予測

何が起きたか

日立製作所は2026年6月10日に投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2026」を開催し、AIソリューション「HMAX」の強化方針を発表した。徳永俊昭社長は「HMAXを社会インフラの安定稼働に必要不可欠なOSへと進化させていく」と表明した。

強化策の核心は、フィジカルAIの現場実装を担う「Physical AI FDE(Forward Deployed Engineer)」チームの結成だ。米GlobalLogicなどAI技術に特化したエンジニアと、日立のドメイン知識を持つエンジニアの混成チームで構成される。FDEが顧客現場で得た知見・データをHMAXに還元するサイクルを通じて、HMAXの機能を継続的に高度化する構造を目指す。

各業種・顧客で異なるデータ形式や粒度を統合・構造化するデータ基盤「Data Fabric」の整備も並行して進める。保守・運用データを横断的に扱えるようにし、業種を超えた横展開を可能にする狙いがある。

日立が予測する対象市場規模は、パワーグリッド保守サービスが2035年に15兆円、鉄道AI活用が2030年に3兆円、フロントラインワーカー支援が2030年に10兆円。同社はこれらの領域でフィジカルAIの実装を通じた「知識集約型ビジネスモデル」の確立を目指すとしている。

原典ハイライト

徳永社長は「インフラ事業では継続的な運用・保守の高度化が重要である一方、AIをどう取り込むかが課題だ。FDEで応えていく」と発言。Physical AI FDEはGlobalLogicのAIエンジニアと日立ドメイン人材の混成という具体的な組成方針が示された点が核心。

出典: 日経xTECH IT(報道)

So What?(なぜ重要か)

日立の戦略は「AIモデルを売る」のではなく「現場に人を常駐させてAIを実装し、そこで得たデータを製品にフィードバックする」循環モデルへの転換を示している。社会インフラ向けAIは汎用LLMでは対応困難なドメイン知識と現場データが競争優位の源泉となるため、FDEという人的投資がプラットフォームの差別化に直結する構造だ。

日本企業への示唆

電力・鉄道・製造など社会インフラを顧客に持つ日本企業にとって、AIベンダー選定の軸が「モデルの性能」から「現場実装能力と知識還元の仕組み」へとシフトしつつある。自社にFDE的な機能(業務知識×AI実装スキルを兼ね備えた人材)が不足している場合、外部パートナーへの依存度が高まるリスクを認識した上で、内製人材育成か戦略的協業かを今から検討すべき局面に入っている。

背景・経緯

HMAXは日立が社会インフラ・産業分野向けに展開するAIソリューション群。日立は2021年にGlobalLogicを約9600億円で買収しており、同社のソフトウェアエンジニアリング能力を今回のPhysical AI FDEに組み込む形で活用する。国内でのFDE人材育成目標(5000人規模)についても言及があるとされるが、詳細は有料記事部分のため原文では確認できない。