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ヒマラヤ、暗黙知まで学習した「AI副店長」を全99店舗に導入

30秒サマリー

  • スポーツ用品チェーンのヒマラヤが、企業理念と接客ノウハウを学習したAI「アイダ つなぐ」を全店展開
  • マニュアルなどの形式知にとどまらず、ベテランの暗黙知や50年来の企業理念を搭載
  • 開発背景には、人材流動化による「企業理念の風化」という経営課題があった

何が起きたか

岐阜市に本社を置くスポーツ用品チェーンのヒマラヤは、2026年6月から「アイダ つなぐ」と名付けたAI副店長を全99店舗に導入した。開発はAI技術を提供するTHA(東京都新宿区)と組み、2025年9月から着手した。

同システムが学習したのは、店舗マニュアルや社内ルールといった形式知にとどまらない。創業以来50年間掲げてきた「お客さま第一主義」という企業理念と、ベテラン社員が積み上げてきた接客ノウハウ—いわゆる暗黙知—までを取り込み、マインドと業務スキルの両面から現場スタッフをサポートする設計となっている。

導入の直接的な動機として、業務情報が複数のシステムに分散し、現場スタッフが接客中に素早い判断を下しにくい状況があった。加えて同社が深刻視したのが理念の風化で、店舗運営部の金丸智功氏は「ベテランたちがいるうちに、その『思い』を伝えられるAIを作りたかった」と語っている(ITmedia掲載のインタビューより)。

原典ハイライト

ヒマラヤ店舗運営部の金丸氏は「このままでは次の50年に理念を継承できない」と危機感を示し、AIに学ばせたのは「答え」ではなく「考え方」だと説明。企業理念の継承ツールとしてのAI活用という視点が開発の核心にある。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

生成AIの小売現場活用は、マニュアル検索や業務効率化の段階から、企業文化・暗黙知の伝承という人材管理上の課題解決へと用途が拡張されつつあることを示す事例だ。特に多店舗チェーンでは、理念浸透と接客品質の均一化という長年の課題にAIが切り込む可能性が具体化した。

日本企業への示唆

日本の小売・サービス業では、熟練スタッフの退職や人材流動化により、暗黙知の断絶が深刻化している。本事例は、AIを「業務効率化ツール」としてではなく「理念と技能の継承インフラ」として位置づける新たな投資判断の枠組みを示す。導入検討にあたっては、ベテラン社員への聞き取りやナレッジ構造化のプロセスが先行投資として必要になる点も念頭に置きたい。

背景・経緯

多店舗展開の小売業では、業務情報の分散管理と接客品質のばらつきが共通課題となっている。原文によれば、現在多くの小売企業が生成AIを接客現場に活用し始めているものの、その多くはマニュアルなど形式知の検索支援にとどまっており、現場の実態に即したサポートには至っていないとされる。ヒマラヤはこうした業界全体の課題を踏まえ、より踏み込んだ設計に取り組んだ。