AI News JAPAN

世界のAIニュースを最速で把握できるメディア

Advertisement

OpenAI、ロシア発アカウントを凍結——偽シンクタンクを宣伝する影響工作にChatGPTを悪用

30秒サマリー

  • OpenAIがロシア起源とみられるChatGPTアカウント群を利用停止。偽装されたイスラエル拠点の「専門家コミュニティ」と「主権指数」を宣伝するSNS投稿の生成などにChatGPTが悪用されていた
  • 工作はロシアを称賛し西側諸国を批判するコンテンツをAIで生成・拡散していたとみられる
  • 生成AIが地政学的影響工作の道具として悪用される実態をOpenAI自身が公表

何が起きたか

OpenAIは公式ブログ(原文はHTTP 429エラーのため直接確認できず、RSS要約を根拠とする)にて、ロシアを起源とするアカウント群を利用規約違反として凍結したと報告した。当該アカウントはAIを活用し、実態に不透明な点の多い、イスラエル拠点を称する組織を運営。さらに独自の「主権指数」を作成し、ロシアを肯定的に評価する一方、西側諸国を批判するナラティブを展開していたとされる。

工作の直接的な影響は、現時点では限定的だったとみられる。OpenAIによると、一般的なSNS投稿の閲覧数は少なく、IBIの公式アカウントも登録者数は少数にとどまっていた。一方、工作に関連するTelegramチャンネルは、それぞれおおむね1万~2万人のフォロワーを獲得していた。OpenAIは影響工作の広がりを評価するBrookings Institutionの「Breakout Scale」に基づき、今回の工作を「Category 3の下位」と評価している。これは複数のプラットフォームに展開し、実在する利用者層への一定の波及が確認された段階に相当する。

OpenAIは、今回の工作の重要性は到達したオーディエンスの規模よりも、構築された情報工作のインフラにあると指摘している。ChatGPTによって生成された個々の宣伝投稿の先には、専門家、学術論文、独自の「主権指数」などを備え、一見すると信頼できる研究機関のように見える情報源が用意されていた。こうした基盤は、将来的に工作規模を拡大するための資産として利用される可能性がある。

原典ハイライト

RSS要約によれば、OpenAIはロシア起源のアカウントが「AIを使って偽のイスラエル系シンクタンク」と「ロシアを称賛し西側を批判する主権指数」を運営していたとして、該当アカウントを凍結したと報告している。

出典: OpenAI News/Research(公式ブログ)

So What?(なぜ重要か)

生成AIが地政学的な影響工作において、SNS投稿の生成などを担う支援ツールとして組み込まれている実態をOpenAI自身が確認・公表した点が重要だ。偽シンクタンクや独自指標によって「権威ある情報源」に見せかける手法は、情報利用者にとって情報源の真正性を見極める負担を高める。

日本企業への示唆

日本企業・経営者にとっての実務的示唆は二点ある。第一に、国際情勢に関する情報収集で参照するシンクタンクや指標の出所を再確認する必要がある——今回のように「もっともらしい名称の組織」がAIで生成された偽情報を発信するケースが増加しているためだ。第二に、自社のAI利用ポリシーとモニタリング体制の整備が急務であり、OpenAIのような大手ベンダーが悪用検知に乗り出している一方で、企業側も自衛的な情報リテラシーの向上が求められる。

背景・経緯

OpenAIの調査によると、工作主体はロシア語でChatGPTに指示を出し、生成する英語コンテンツからロシア人であることを示す言語的特徴を排除するよう求めていた。また、OpenAIはロシア国内からのサービス利用を認めていないため、工作主体はVPNを利用してChatGPTへアクセスしていた。生成されたコンテンツはX、LinkedIn、Facebook、Substack、Telegramなど複数のプラットフォームに投稿されていた。

工作はIBIの宣伝だけにとどまらなかった。ある操作者は「Lahme Ente」と呼ばれるドイツ語のTelegramチャンネル向けに、ウクライナ、EU、ドイツ政府を批判し、ロシアとの関係改善を主張する投稿を生成していた。別の操作者は、ドイツ、米国、フランス、ポーランド、トルコなどを対象とした約12のTelegramチャンネルのロゴを生成しており、米国メディアを装ったチャンネルも確認されている。

IBIのウェブサイト自体にも不自然な点が多数確認された。OpenAIが2025年9月から2026年5月までに公開された記事36本を調査したところ、34本がインターネット上の別の情報源からコピーされたものだった。一部の記事では、本来の著者とは異なる研究者の名前が付けられていた。OpenAIは、既存の学術コンテンツを利用しながら出所を曖昧にすることで、IBIを正当な研究機関のように見せようとした可能性を指摘している。