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情シス部隊が4カ月で国内1位AIスパコンを構築、ソフトバンクの舞台裏

30秒サマリー

  • ソフトバンクの情シス部隊が2023年、社長指示を受け4カ月でAI計算基盤「CHIE-1」を稼働させた
  • 通常業務と並行しつつ、100億円超の発注を1週間で処理するなど極限の綱渡り対応を強いられた
  • 2025年11月、後継機「CHIE-4」がAI処理性能で国内1位・世界5位を達成

何が起きたか

2023年4月、ソフトバンクの宮川潤一社長執行役員兼CEOの号令により、国産AI基盤構築プロジェクトが発足した。目的は日本語対応の国産生成AI「Sarashina」(サラシナ)の開発基盤となる「CHIE-1」の構築で、プロジェクト開始から約4カ月後の8月に学習開始という期限が設定されていた。しかし試算では順調に進んでも完成は12月ごろと見込まれ、実質5カ月の前倒しが必要という状況だった。

このプロジェクトを任されたのは、AIスパコンの専門家ではなく、社内ネットワーク管理を担う「コーポレートIT本部」、いわゆる情シスのメンバーたちだ。チームは当初、NVIDIA DGX SuperPODの名称すら馴染みがない状態だったという。通常の情シス業務も並行して続けながら、100億円超の発注を1週間以内に処理するなど、スピードと調達ルール遵守の両立を迫られた。

現場では機器の納期遅延や仕様変更も相次いだ。ネットワーク機器が当初の予定品から別モデルへの切り替えを余儀なくされ、データセンター側の設備変更にまで波及した。工事フェーズでは土日を含む昼夜交代制で作業を進め、約1万本のケーブルを人手で敷設。2023年当時はAIインフラ向けのセキュリティ構成に「鉄板」がなく、社内システムとの連携も手探りで対応したとされる。

こうした取り組みの結果、2025年11月に後継機「CHIE-4」がスパコン性能ランキングのAI処理性能部門で国内1位、世界5位を獲得。指揮を執った種邑宏平統括部長は、スパコン「富岳」のAI計算性能を上回ったことへの喜びを語っている。

原典ハイライト

種邑宏平統括部長は「100億円を超えるのに、1週間以内に発注が必要というスケジュール感。何よりもスピード優先だった」と述べており、前田高尚部長も「超やばかった」と当時の多忙さを振り返っている。社内に参考にできる前例がなく、毎日「翌日期限の仕事を当日こなす」綱渡り状態が続いたとされる。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

AIインフラ構築は専門部隊だけの仕事ではなくなりつつある。今回のケースは、スパコン知識ゼロの情シスチームが、トップのコミットとスピード優先の意思決定、そして既存業務との並行対応によって国内最高水準の基盤を作り上げた事例だ。経営層の強いコミットメントと、情シスへの権限・予算付与がいかに結果を左右するかを示している。

日本企業への示唆

自社AIインフラの内製・構築を検討する日本企業にとって、このケースは「専門家がいないからできない」という言い訳を崩す実例となる。一方で、100億円超の発注を1週間でこなすには、稟議フローの事前整備と経営層の迅速な意思決定支援が不可欠だ。情シス部門に大型AIプロジェクトをアサインする際は、通常業務の一時的な肩代わり体制や、外部パートナーとの役割分担を事前に設計しておくことが、プロジェクト破綻リスクを下げる現実的な備えとなる。

背景・経緯

ソフトバンクは2023年の生成AIブームを受け、国産AI基盤の必要性を認識してCHIEシリーズの開発に着手した。日本語・国内商習慣に対応した生成AI「Sarashina」の開発を決定し、その学習基盤として構築が始まった。CHIE-1はその初号機で、その後CHIE-4まで進化したことが原文から読み取れる。