公開:2026年8月30日, 最終更新:2026年8月30日
30秒サマリー
- ソニーミュージックとワーナー・チャペルが、Claude開発元Anthropicを著作権侵害で提訴
- 「数万点」の著作物について1件最大15万ドル、合計では数十億ドル規模の損害賠償を請求
- 共同創業者2名も個人被告に指名、BitTorrentによる大規模な違法ダウンロードを主張
何が起きたか
ソニーミュージックとワーナー・チャペルは2026年8月、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所にAnthropicを提訴した。訴状では「数万点」に上る著作権保護作品の無断利用を主張しており、1作品あたり最大15万ドル、著作権管理情報(CMI)を削除した行為については1件あたり最大2万5,000ドルの損害賠償を求めている。裁判所が原告側の主張を全面的に認め最高額を認定した場合、賠償総額は数十億ドル規模に達する可能性がある。
訴状はAnthropicという法人だけでなく、共同創業者のダリオ・アモデイ氏とベンジャミン・マン氏を個人被告としても名指ししている。原告側の主張によれば、マン氏はBitTorrentを通じて500万冊超の海賊版書籍をダウンロードし、従業員らも「パイレート・ライブラリー・ミラー」から少なくとも200万点を入手したとしている。また、MusixMatchやLyricFindなどの歌詞サイト(いずれもレーベルからライセンスを取得して運営)から歌詞データをスクレイピングしたとも主張している。
具体的な楽曲としては、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「Ain’t No Mountain High Enough」、ボン・ジョヴィの「Livin’ On a Prayer」、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」、レナード・コーエンの「Hallelujah」、テイラー・スウィフトの「Paper Rings」などがAnthropicの学習データに含まれていたと訴状は指摘している。Anthropicは原文取得時点でコメントを出していない。
Anthropicはこれが初めての著作権訴訟ではなく、出版業界から提起された訴訟を15億ドルで和解したばかり。ユニバーサル・ミュージック・グループ、コンコード、ABKCOからの複数の訴訟、およびBMGとラウンドヒル・ミュージックからの別訴訟にも直面していると報道されている。
原典ハイライト
訴状は今回の行為を「歴史上最大かつ最も露骨な知的財産の盗取の一つ」と断じ、AnthropicがClaudeシリーズの開発・運用・収益化のために大規模な違法トレントやスクレイピングを行ったと主張している。
出典: The Verge(報道)
So What?(なぜ重要か)
生成AI開発における学習データの調達方法が、企業の存亡を左右しうる法的リスクとして顕在化している。今回は出版業界との15億ドル和解に続く提訴であり、音楽著作権分野でも同様の構図が成立することが示された。個人創業者まで被告に名指しされた点は、経営者個人の法的責任という新たな次元を加えており、業界全体に対するシグナルとして重い。
日本企業への示唆
日本企業が生成AIサービスを導入・開発する際、利用する基盤モデルの学習データの適法性確認がデューデリジェンスの必須項目となりつつある。特にAnthropicのClaudeを業務利用しているケースでは、今後の訴訟の行方と契約上の免責範囲を法務部門が精査すべき段階に入っている。また、自社でAIを開発・ファインチューニングする場合は、学習データの出所と利用許諾状況の記録を整備しておくことが、将来的な法的リスク管理の観点から急務だ。
背景・経緯
Anthropicはこれまでも複数の著作権訴訟に直面してきた。出版業界との訴訟を15億ドルで和解したほか、ユニバーサル・ミュージック・グループ、コンコード、ABKCO、BMG、ラウンドヒル・ミュージックからも訴えを起こされているとThe Vergeは報じている。今回のソニーミュージックおよびワーナー・チャペルによる提訴は、こうした一連の知的財産をめぐる法的紛争の最新事例にあたる。







