公開:2026年9月11日, 最終更新:2026年9月11日
30秒サマリー
- AI推論チップメーカーd-MatrixがNVIDIA NVLink Fusionを採用し、次世代XPU「Raptor」をNVIDIAのAIファクトリー基盤に接続すると発表
- NVLink Fusionはカスタムシリコンをラックスケールで展開するための共通インフラを提供し、独自ネットワーク構築のコスト・リスクを削減
- パートナーにはAWS・Arm・Intel・富士通・Samsung・Marvellなど16社が名を連ねる
何が起きたか
AIの推論特化チップメーカーであるd-Matrixは、次世代XPU「Raptor」にNVIDIA NVLink Fusionを採用すると発表した。NVIDIAの公式ブログが2026年9月11日に公開した記事によると、d-MatrixはNVLink Fusionを通じて、NVIDIAのスケールアップネットワーク「NVLink」、スケールアウトネットワーク「Spectrum-X」、ラックアーキテクチャ「MGX」を含むAIプラットフォーム全体に接続する計画だ。
NVLink Fusionは、サードパーティ製のXPU・CPUをNVIDIAのAIファクトリー基盤(コンピュート、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ、電力・冷却、ソフトウェア)に統合するためのプラットフォームと同ブログでは説明されている。XPU間レイテンシは市販イーサネット比3分の1、パケットレートは10倍、第6世代NVLinkによるXPU当たりの全対全帯域幅は3TB/sとされる。
d-MatrixはNVLink Fusionの採用により、NVIDIA Vera CPU、ConnectX-9 SuperNIC、BlueField-4 DPU、Spectrum-X Ethernetネットワークとの統合も計画している。またNVIDIA GPU搭載システム「Vera Rubin NVL72」と並置した分散型推論にも対応するとしている。
NVLink Fusionのエコシステムパートナーとしては、d-Matrix以外にAWS、Arm、Intel、富士通、SiFive、Alchip、Astera Labs、GUC、Marvell、MediaTek、Samsung、Cadence、Synopsys、Ayar Labs、Lightmatterが挙げられている。対応CPUアーキテクチャはArm、x86、RISC-Vの主要3種とされている。
原典ハイライト
d-MatrixのCEO、シド・シェス氏はプレスブリーフィングで「NVLink FusionとMGXにより、Raptor XPUを広く普及した液冷アーキテクチャに統合でき、超低遅延推論の展開と拡張への道が加速かつ低リスクになる」と述べた。同ブログはNVLink Fusionの意義を「カスタムXPUの構築は困難だが、スケールで展開することはさらに困難」との問題意識から説明し、NVIDIAの実績あるAIファクトリー基盤に直接接続できる点を核心として位置づけている。
出典: NVIDIA Blog(公式ブログ)
So What?(なぜ重要か)
NVLink Fusionは、カスタムシリコンを持つ企業がNVIDIAのラックアーキテクチャ・サプライチェーン・ソフトウェアスタックをそのまま活用できる仕組みであり、独自AIチップの量産展開に伴うリスクと時間を大幅に削減できる可能性がある。富士通を含む16社がすでにパートナーとして名を連ねており、業界標準としての地位を確立しつつあるとみられる。AIインフラの「共通土台」をNVIDIAが握る構造が一層強まることを示す動きと言える。
日本企業への示唆
富士通がNVLink Fusionパートナーに列記されており、日本の半導体・AIインフラ企業にとっても対岸の火事ではない。独自AIチップや推論アクセラレータの開発を検討している日本企業は、自前でラックからソフトウェアまで構築するか、NVLink Fusionを通じてNVIDIAエコシステムに乗るかという戦略的選択を迫られる局面が近づいている。エコシステムへの参加はスピードとリスク低減に有利な一方、NVIDIAへの依存度が高まる点も経営判断として踏まえる必要がある。データセンター運営者にとっては、GPU・XPU混在環境を単一ラック設計で賄える点が調達・運用コストに直結しうる。
背景・経緯
NVLink FusionはカスタムXPU・CPUをNVIDIAのAIファクトリー基盤に接続するプラットフォームとして位置づけられており、原文では「エコシステムパートナーが増加中」と表現されていることから、d-Matrixが今回新たに加わったパートナーであることが読み取れる。d-Matrixは推論特化チップメーカーとして紹介されており、次世代製品「Raptor XPU」の展開加速を目的にNVLink Fusionを採用する判断をしたとみられる。NVIDIAのAIファクトリープラットフォームにはVera Rubin NVL72やGroq 3 LPXなども含まれると原文は説明しているが、各製品の詳細な提供状況については原文では言及がない。




