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AIシステム影響評価(ISO/IEC 42005)とは?意味・仕組みと日本企業への示唆

公開:2026年10月11日, 最終更新:2026年10月11日

AIシステム影響評価(ISO/IEC 42005)は、AIシステムが個人・集団・社会・環境に及ぼす潜在的な影響を体系的に特定・評価・記録・管理するための国際規格である。ISO(国際標準化機構)およびIEC(国際電気標準会議)の合同技術委員会ISO/IEC JTC 1/SC 42が策定し、2025年5月28日に「ISO/IEC 42005:2025」として初版が発行された。

概要

正式名称は「Information technology — Artificial intelligence (AI) — AI system impact assessment」。AIシステムがもたらす便益と害の両面を比較・評価するプロセスと具体的な手法を提供する。

本規格は第三者認証の対象となる「要求事項規格」ではなく、実務上の進め方を示す「ガイダンス(手引き)」として位置づけられる。AIマネジメントシステムの要求事項を定めた「ISO/IEC 42001」のファミリー規格であり、組織全体の管理体制を規定するISO/IEC 42001を補完する形で、個別AIシステムへの具体的な影響評価手法を担う。

仕組み・ポイント

ライフサイクル全体での継続的実施

影響評価は一回限りのイベントではなく、設計・開発・導入前・運用中・変更時・廃止に至るまで継続的に実施・更新される。

評価の対象範囲

差別的・不公正な結果、プライバシー侵害、環境への負荷、労働環境・人権への影響といった予見可能な負のインパクトを特定し、AIがもたらす便益と比較評価する。

主な評価ステップ

アセスメント権限の確立、AIシステムの明確な記述、意図された用途・予見可能な誤用・禁止された用途の定義、ステークホルダーと影響を受けるグループの特定、影響カテゴリの選択、影響シナリオの構築などが含まれる。

なぜ今注目されているのか

EUのAI法(EU AI Act)が基本権影響評価などを要求しており、ISO/IEC 42005はその対応に活用できる内容となっている。国内では日本規格協会(JSA)が国際規格と一致した「JIS Q 42005:2026」を2026年8月20日に制定・発行し、日本語での参照が可能になった。また、AWSなどのクラウドベンダーが自社サービスや顧客のAIガバナンス構築において本規格に準拠した影響評価プロセスの統合・支援を進めており、実務への浸透が加速している。

日本企業への示唆

ISO/IEC 42001によるAIマネジメントシステムの整備を進めている企業にとって、ISO/IEC 42005は個別システムレベルの評価を補完する実践的な手引きとして活用できる。JIS Q 42005:2026の発行により、日本語で体系的な評価プロセスを参照できる環境が整ったため、社内標準の策定や審査対応に組み込みやすい状況にある。EU AI Act対応が求められるグローバルビジネスにおいては、本規格に沿った影響評価の記録・文書化が規制対応の根拠としても機能しうる。ガイダンス規格であるため認証取得は必須ではないが、取引先や規制当局への説明責任を果たすうえで、プロセスへの準拠を示すことが競争上の信頼性につながる点は留意したい。


※ 本ページはAI News JAPAN編集部が最新の動向を踏まえて解説したものです。内容は随時見直します。