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IBM、推論特化モデル「Granite 4.2」の構築手法をHugging Face公式ブログで詳説

30秒サマリー

  • IBMのGraniteチームが、推論モデル「Granite 4.2」(3B・8B・30B)の構築技術をHugging Faceブログで公開
  • 15兆トークンの事前学習、SFT、多段階強化学習(GRPO)を組み合わせた独自パイプラインを採用
  • 全モデルがApache 2.0ライセンスで公開、OpenAI互換エンドポイントにも対応

何が起きたか

IBMのGraniteチームは2026年8月25日、推論特化モデル「Granite 4.2」ファミリーの構築手法を詳述した技術ブログをHugging Faceで公開した。対象モデルはパラメータ規模別に3B・8B・30Bの3種類で、いずれもdense(密結合)なデコーダーオンリー型トランスフォーマーアーキテクチャを採用する。

事前学習は約15兆トークンを用いた5フェーズ戦略で行われ、最終フェーズで文脈長を512Kトークンに拡張している。その後、約720万サンプル(約1,000億トークン相当)のデータを用いた教師あり微調整(SFT)を実施。データはエージェント系(31.6%)と非エージェント系(68.4%)に分かれ、品質管理にはGPT-OSS-120BとGemma 4をLLMジャッジとして活用している。

SFT後には多段階・多環境の強化学習パイプラインを適用する。各ステージはGRPO(Group Relative Policy Optimization)を用いた独立したRLランで構成され、前ステージのチェックポイントを引き継ぐ。8Bと30Bモデルはさらに「エージェントRLブロック」を経て、ソフトウェアエンジニアリング・ターミナル操作・ウェブ検索をサンドボックス環境内で実行する能力を習得する。全モデルは「thinking/non-thinkingモード」の切り替えと、低負荷のthinkingモード(推論リソースを抑えた簡易回答モード)、ネイティブのツール呼び出し機能を備える。OpenAI互換エンドポイント(vLLMなど)やSGLangでの動作もサポートしており、全モデルがApache 2.0ライセンスで公開されている。

原典ハイライト

「Granite 4.2は密結合・デコーダーオンリーの推論LLMとして初めてのファミリー。3B・8B・30Bの3サイズで、5フェーズ戦略による約15兆トークン事前学習、Chain-of-Thoughtや推論・エージェント軌跡データでのSFT、多段階RLパイプラインを経て構築。8Bと30BにはエージェントRLを適用し、実際のサンドボックス環境でツールを使いながら行動する能力を習得させた」(Hugging Face公式ブログ、Graniteチーム/IBM著)

出典: Hugging Face Blog(公式ブログ)

So What?(なぜ重要か)

Granite 4.2の構築手法公開は、エンタープライズ向け推論モデルの「製造工程」が透明化される流れを示している。Apache 2.0ライセンスによる商用利用可能なオープンモデルとして、3B〜30Bという実用的なサイズ帯をカバーし、OpenAI互換APIで既存エージェント基盤に組み込めることは、クローズドAPIへの依存を避けたい企業にとって選択肢が広がることを意味する。特に多段階RL・エージェントRLの詳細が公開されたことで、自社データを用いた追加学習や特定業務への応用を検討する際の技術的根拠が得られた点が重要だ。

日本企業への示唆

日本企業がエンタープライズ向けAIを導入する際、Granite 4.2はいくつかの観点で検討に値する。第一に、Apache 2.0ライセンスのため社内オンプレミスやプライベートクラウドへのデプロイが法的障壁なく可能であり、機密性の高い業務データを外部送信したくない企業に適している。第二に、3Bという軽量モデルも推論能力を持つため、限られた計算資源で社内ニッチ業務(規程文書解析、コード補完、社内Q&Aなど)に特化させる微調整が現実的になる。第三に、OpenAI互換エンドポイント対応により既存のエージェントフレームワークやツールチェーンをそのまま流用できる。技術部門は構築手法の詳細が公開されていることを活かし、PoC段階でモデル選定の評価軸(推論精度・レイテンシ・ライセンス・コスト)にGranite 4.2を加えることを推奨する。

背景・経緯

IBMはGraniteシリーズとして従来から命令追従型アシスタントモデルを展開してきた。Granite 4.2はその延長線上に位置する推論特化リリースで、今回の技術ブログでは前世代(Granite 4.1)からの変更点として推論能力とエージェント能力の追加を挙げている。事前学習の詳細なデータ構成や長文脈拡張の手法については「Granite 4.1ブログを参照」とされており、本記事はGranite 4.2固有の差分を中心に解説する位置づけとなっている。