公開:2026年9月25日, 最終更新:2026年9月25日
30秒サマリー
- 神奈川発のファブレス半導体企業EdgeCortixが、エッジ・フィジカルAI向け新チップレットプラットフォーム「RAIDEN」を2026年9月24日に発表
- 最上位構成の4ダイ「RAIDEN-X4」は最大3.36PFLOPS(FP4)・256GBメモリ・1.54TB/sダイ間帯域幅を実現
- 川崎重工業(航空宇宙・防衛向け)およびUnigen Corporation(エッジAIサーバー)がすでに採用を決定
何が起きたか
EdgeCortix(本社:神奈川県)は2026年9月24日、フィジカルAIアプリケーション向けに設計したスケーラブルなAIチップレットプラットフォーム「RAIDEN(ライデン)」を正式発表した。同社は日本を代表するファブレス半導体企業として、エネルギー効率の高いAI処理を専門とする。
RAIDENは1ダイ(X1)・2ダイ(X2)・4ダイ(X4)の3構成を共通アーキテクチャ「DNA-X」と共通ソフトウェアスタック「MERA」で統一する設計を採る。最上位の「RAIDEN-X4」は、最大3.36PFLOPS(FP4換算)のAI演算性能、最大256GBのメモリ、548GB/sのメモリ帯域幅、最大1.54TB/sのダイ間帯域幅、さらにパッケージを超えた拡張に対応する最大6.4Tb/sのチップ間スケールアウト接続を備えると説明されている。
顧客採用については、川崎重工業が次世代の航空宇宙・防衛製品向けにRAIDENベースのソリューションを選定。米国のエンタープライズハードウェアプロバイダーUnigen Corporationは、既存のSAKURA-IIベース製品に続き、RAIDENベースのサーバープラットフォームを開発中だと明かされた。
なお、RAIDENはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」(JPNP20017)の助成を受けて開発されたと同社はプレスリリースで明記している。カスタマーサンプルの提供は2027年初頭、量産は2027年後半を予定。現在、早期アクセスプログラムへの登録を受け付けている。
原典ハイライト
「フィジカルAIは、より速いアクセラレーターを作るだけでは勝てない。コンピュート・メモリ・帯域幅・接続性・ソフトウェアが一体としてスケールし、今日導入したハードウェアが数年後に顧客が採用するモデルを実行できるプラットフォームが必要だ」——EdgeCortix創業者兼CEO、Sakyasingha Dasgupta博士(原文より要約)
So What?(なぜ重要か)
RAIDENはデータセンターではなく「厚いエッジ(thick edge)」——ロボット・自律システム・航空宇宙・防衛・通信設備などの現場——に向けたAI処理基盤の新たな選択肢として提示されている。1チップから4チップまでを共通ソフトウェアで運用できる設計は、開発投資の継続性を重視する産業用途で差別化要素になりうる。川崎重工業という日本の重工大手がすでに採用を決定している点は、同市場における実需の存在を裏付けるとみられる。
日本企業への示唆
製造・防衛・物流・インフラなどでエッジAIの高度化を検討する日本企業にとって、RAIDENは国産ファブレス企業が提供するNEDO支援のプラットフォームとして調達検討の俎上に載せる価値がある。特にソフトウェア資産の継続性(SAKURA-IIからRAIDENへの移行可能性)は、長期プロジェクトでのリスク低減に直結する。2027年のサンプル提供に向け、早期アクセスプログラムへの参加を通じた技術評価の開始を検討する時機といえる。一方、量産・価格・エコシステムの成熟度については現時点で原文に詳細がなく、今後の情報収集が不可欠だ。
背景・経緯
EdgeCortixはSAKURA-IIシングルチップアクセラレーターを既に市場投入しており、UnigenはそのSAKURA-IIベースのモジュール・サーバーシステムをすでに出荷中と原文は述べている。RAIDENはSAKURA-IIと同一のMERAソフトウェアスタックで連続性を保ちながら、マルチダイ構成へ性能クラスを引き上げる次世代製品と位置づけられている。開発にはNEDOのポスト5G関連助成が活用されていることも明記されている。





