公開:2026年10月14日, 最終更新:2026年10月14日
30秒サマリー
- 総パラメータ24Bながら推論時の有効パラメータは2Bのみで、エッジ端末でも高速動作が可能
- ツール呼び出しや多段推論など5つのエージェント系ベンチマークで、約50%大きなQwen3.6-35B-A3Bと同等以上の性能
- Apple M5 Maxで184トークン/秒、NVIDIA B300では最大21Kトークン/秒を達成し、社内ローカル運用に適する
何が起きたか
Liquid AIは2026年10月13日、Hugging Face公式ブログにてオープンウェイトの推論特化モデル「LFM2.5-24B-A2B」の公開を告知した。総パラメータ数は24Bだが、MoE(Mixture of Experts)構造により推論時に有効化されるパラメータは2Bにとどまるため、自社ハードウェア上でも低コストかつ継続的なエージェント稼働が可能だと説明している。
アーキテクチャは前モデル「LFM2-24B-A2B」を継承し、40層・各MoEブロックに64エキスパート(top-4ルーティング)を採用。コンテキストウィンドウを32Kから131Kトークンに拡大し、語彙数も65Kから128Kへ倍増させてラテン文字以外の多言語処理を強化した。事前学習トークン数は約17Tから約33Tに増量し、中間学習・ポストトレーニングではSFT、教師専門化、ドメイン横断蒸留(非エージェント・エージェント各フェーズ)、エージェントRLの計5段階を経て仕上げている。
ベンチマーク(16項目)では、ツール利用・エージェント系の8項目中5項目でQwen3.6-35B-A3BやGemma-4-26B-A4B-it、Nemotron-3.5-Lightningと同等以上のスコアを記録。特にAutomationBenchでは2位モデルの3倍超となる27.69を達成し、LiveClawでは48.09対38.19でQwen3.6-35B-A3Bを上回った。一方、知識集約型(GPQA Diamond、HLE)やコーディング(SWE-Bench Verified)では大規模モデルが優位であり、そうした用途には検索拡張との併用が推奨されている。
推論速度はエッジ用途でApple M5 Maxで184トークン/秒、Ryzen AI Max+ 395で114トークン/秒を達成し、同クラスMoEで最速と主張する。GPU環境ではNVIDIA B300(シングルGPU)で最大21Kトークン/秒(高並列時)を記録した。llama.cpp、MLX、vLLM、SGLang、ONNXに対応しており、Hugging Faceよりベースモデル・インストラクションモデルの両方をダウンロード可能。
原典ハイライト
「推論トークン1件ごとに有効化されるパラメータは2Bのみ。自社ハードウェア上でエージェントを継続稼働させてもコストが安い」というのが本モデルの核心的な価値提案。AutomationBenchで競合最高スコアの3倍超を記録し、ツール呼び出し・命令追従の各ベンチマークでも最高水準を示した。
出典: Hugging Face Blog(公式ブログ)
So What?(なぜ重要か)
24BパラメータのMoEモデルが、クラウドAPIを使わずオンプレミス・エッジ端末で「考えてからツールを呼ぶ」エージェントを実用速度で動かせる段階に達しつつあることを示す事例だ。社外サーバーにデータを送らずに済むため、機密性の高い業務フローへのAIエージェント適用が現実的な選択肢になる。ただし知識集約タスクではより大きなモデルに劣る面もあり、用途の峻別が必要。
日本企業への示唆
日本企業が検討すべき実務的なポイントは三つある。①社内文書・顧客データを外部APIに送信できない業種(金融・医療・製造など)でも、ローカルGPUやハイエンドMacにモデルを置けばエージェント自動化を開始できる。②llama.cppやMLXに対応しているため既存PCインフラでの試験導入のハードルが低く、小規模PoC→本番展開の流れを踏みやすい。③ツール呼び出し・命令追従が強みである一方、専門知識の深掘りは検索拡張(RAG)と組み合わせることが前提であり、導入設計時にRAGアーキテクチャとセットで検討することが望ましい。
背景・経緯
Liquid AIは前モデルLFM2-24B-A2Bをベースに本モデルを開発。同社はHugging Face上でマルチモーダルモデルや視覚言語モデルなども発表しており、エッジ向け推論効率化を継続的に追求している。MoEアーキテクチャによる「大きなパラメータ数・少ない有効パラメータ数」という設計は、Qwen・Gemmaなど他社モデルも採用しており、オンデバイスAIの主流アプローチになりつつある。





