30秒サマリー
- Okta Japanが2万超の組織の4年間のアクセスデータを分析した「Okta Enterprise AI Index」を発表
- 2026年6月時点で約57%の企業が2つ以上のAIプラットフォームを併用し、単一依存からの脱却が加速
- AIエージェント普及に伴い「どこにいるか・何に接続できるか・何ができるか」の管理が新たな経営課題に
何が起きたか
Okta Japanは2026年7月17日、「Okta Enterprise AI Index」を発表した。同レポートは、2022年6月から2026年6月までの4年間、Okta Platformを利用する2万以上の組織の匿名化されたアクセスデータを基に、109のAI製品・ツールを74の製品スイートに統合して分析したものだ。
プラットフォーム別の企業アカウント純増数では、AIネイティブ(4年間でアカウント増加率4倍超)に分類されるAnthropicが首位、OpenAIが2位となった。注目すべき動向として、2026年3月にはAnthropicが企業アカウント数でOpenAIを逆転し、翌4月には月間アクティブユーザー数(MAU)でも逆転が起きたことが明らかになった。ただし総量ではMicrosoft 365やGoogle WorkspaceといったAI強化型既存サービスが市場の大半を占めており、首位AnthropicのアカウントはMicrosoft 365の半分未満、MAUは10分の1にも満たない。
複数AI併用の傾向も顕著で、2026年6月時点で全体の約57%の企業が2つ以上のAIプラットフォームを利用。単一プロバイダーのみを使う企業の割合は同年5月から6月の1カ月で1.2ポイント減少しており、特定プロバイダーへのロックインを避ける動きが加速している。
セキュリティ面では、AIエージェントを「デジタルワーカー」として位置づけた管理の必要性をレポートは指摘している。Okta Japanは、人・システム・AIエージェントが複数プラットフォームをまたいで連携するマルチベンダー環境において、「アイデンティティーレイヤー」が重要な基盤になると結論付けた。
原典ハイライト
2万超の組織の4年分アクセスデータという大規模な実データに基づき、約57%の企業が複数AIを併用していること、2026年春にAnthropicがOpenAIを企業利用者数・MAUの両面で逆転したこと、そしてAIエージェントの「所在・接続先・権限」管理が新たなセキュリティ課題として浮上していることが核心的な知見だ。
出典: ITmedia AI+(報道)
So What?(なぜ重要か)
「とりあえずChatGPT」という一択時代は終わり、企業はすでにAIを用途別に使い分けるマルチAI運用へ移行しつつある。この状況下では、誰がどのAIをどの権限で使っているかを把握できない「シャドーAI」リスクが拡大する。AIエージェントが自律的に社内システムへアクセスする段階では、従来の人間ユーザー向けIDガバナンスの枠組みでは対応しきれず、エージェント単位での権限管理と監視体制の整備が不可欠になる。
日本企業への示唆
日本企業の情報システム部門・経営層は、AIツールの導入管理を「製品選定」から「アイデンティティ・ガバナンス」の問題として再定義する必要がある。具体的には、①社内で利用されているAIツールの全棚卸し(シャドーAI含む)、②AIエージェントに付与するアクセス権限の最小化と可視化、③マルチベンダー環境を前提としたSSO・IDaaS基盤の整備、の3点が優先課題となる。特に、従業員が業務でClaude・ChatGPT・Copilotを併用している実態を把握していない組織は、データ漏洩リスクの盲点を抱えている可能性が高い。
背景・経緯
OktaはIDaaS(Identity as a Service)プロバイダーとして、企業のシングルサインオン(SSO)やアクセス管理を提供しており、自社プラットフォームを通じた大規模なアクセスデータを保有している。今回のレポートはその匿名化データを活用した市場実態調査で、2026年7月17日に発表された。AIツール市場では2025年以降、CursorやClaude Codeなどのエージェント型開発ツールが台頭し、企業利用の構図が急速に変化している。








