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大阪大学発の口腔がんAI診断支援システム、厚労省の製造販売承認を取得

30秒サマリー

  • 大阪大学らが開発した口腔粘膜画像解析AI「Mucosight AI」が厚労省の製造販売承認を取得した
  • 口腔内写真をアップロードすると約30秒でがん等の疑いを判定、歯科医師の専門医紹介判断を支援
  • NVIDIAが技術・計算環境面で開発支援、約4万枚の口腔内画像で学習し2026年8月下旬に提供開始予定

何が起きたか

大阪大学は2026年8月4日、AI活用のプログラム医療機器(SaMD)「口腔粘膜画像解析システム Mucosight AI」が厚生労働省の製造販売承認を取得したと発表した。製造販売はモリタ東京製作所が担い、同年8月下旬頃の提供開始を予定している。

Mucosight AIは一般歯科クリニックの歯科医師を対象としたソフトウェアで、歯科医師が撮影した口腔内写真をブラウザからクラウドへアップロードすると、学習済みモデルが解析を実行し、約30秒で口腔がん・白板症・良性腫瘍・口内炎の疑いを判定する。類似性が一定以上の場合、4色の枠で画像上に提示される。あくまで確定診断ではなく、専門医のいる高次医療機関への紹介要否判断を補助する位置づけで、出力結果は紹介状への添付も可能だ。

AIモデルの開発には、病理診断が確定した画像を含む多施設から収集した約4万枚の口腔内画像を使用。NVIDIAが共同研究者として参画し、アノテーションツールやデータ前処理手法のアドバイス、AIモデル開発支援を担当した。大規模データの処理には大阪大学のGPU搭載スーパーコンピュータ「Octopus」「SQUID」を活用し、推論結果を専門医が検証して再学習するサイクルを繰り返すことで精度を高めた。研究グループは2017年から開発に着手し、2018年よりNVIDIAの支援を受けてきた。

原典ハイライト

歯科医師が撮影した口腔内写真をクラウドへアップロードするだけで約30秒以内に判定結果を提示。約4万枚の多施設口腔内画像で学習し、専門医による品質チェックと再学習サイクルで精度を向上。NVIDIAは技術知見と計算環境の両面で開発を支援した。

出典: ITmedia AI+(報道)

So What?(なぜ重要か)

口腔がんは発見時に進行がんとなっているケースが多く、一般歯科での早期スクリーニングが課題だった。製造販売承認を取得したことで、専門知識を持たない一般歯科医でも約30秒で疑い事例を抽出できる体制が整う。NVIDIAのような半導体・AI基盤企業が医療機器開発を直接支援し、大学発SaMDが薬事承認に至るという社会実装モデルが国内で具体化した点でも注目される。

日本企業への示唆

医療AIの社会実装において、アカデミア(大阪大学)・AI基盤企業(NVIDIA)・医療機器メーカー(モリタ東京製作所)が役割分担する開発・商業化モデルは、医療機器分野への参入を検討する日本企業にとって参照価値が高い。自社にAIモデル開発ノウハウがなくても、データ保有機関や基盤AI企業との連携で薬事承認まで到達できることを示しており、ヘルスケア領域でのDX・新規事業を検討する経営者は、このような産学連携スキームの活用を具体的に検討する余地がある。また、SaMD(プログラム医療機器)の規制整備が進む中、データ品質管理と専門医による検証プロセスの設計が承認取得の鍵であることも示唆している。

背景・経緯

口腔がんや口腔潜在的悪性疾患は口内炎等との判別が難しく、発見時に進行がんとなっている事例が多いという医療上の課題がある。大阪大学の研究グループは2017年から専門医の知見とAIを組み合わせた支援システムの研究に着手し、2018年からNVIDIAの支援を受けて開発を推進。約8年を経て製造販売承認の取得に至った。