公開:2026年10月24日, 最終更新:2026年10月24日
AWSは、Amazon SageMaker AIのサーバーレスモデルカスタマイズ機能を拡張し、「training sessions」の一般提供(GA)を開始したと公式ブログで発表した。ユーザーは独自の学習ループや報酬関数を記述しながら、GPU管理・分散実行・障害復旧・チェックポイント保存はSageMaker AIが担う形でモデルのポストトレーニングを実施できる。
30秒サマリー
- SageMaker AIがtraining sessionsのGA提供を開始し、GPU管理なしに独自の学習ループを実装可能に
- SFT・DPO・RLVR・RLAIF・マルチターンRLなど多様な手法に対応し、LoRAまたはフルファインチューニングを選択できる
- 対応モデルはgpt-oss-20b・gemma-4-31B-it・Qwen3.6-27B・Qwen3.8-27Bの4種類で、料金は処理トークン数に応じた従量課金
SageMaker AI training sessionsの発表内容と機能概要
AWSの公式ブログによると、Amazon SageMaker AIのサーバーレスモデルカスタマイズ機能に「training sessions」が一般提供として追加された。training sessionsでは、カスタム損失関数や報酬シグナルを含む学習ループをユーザーが記述・制御する一方、GPU割り当て・分散実行・障害復旧・チェックポイントのS3保存はSageMaker AI側が処理する仕組みとなっている。
サポートするポストトレーニング手法は、SFT・DPO・RLVR・RLAIF・マルチターンRLなど複数にわたる。Low-Rank Adaptation(LoRA)またはフルファインチューニングを選択でき、複数手法をcontinuous customizationとして連結することも可能とされている。学習ループの実装例として、Group Relative Policy Optimization(GRPO)が紹介されており、同一プロンプトへの複数応答生成・スコアリング・モデル更新・サンプラー更新というサイクルを繰り返す流れが解説されている。
料金体系は処理トークン数に応じた従量課金で、ユーザーの環境内で報酬関数がバッチをスコアリングしている間は課金メーターが停止するとされている。データはユーザー指定のAmazon S3バケットに保管され、AWS IAM実行ロール・AWS KMSキー・VPC設定をユーザー側で設定できる。AWSはユーザーのデータやカスタマイズ済みの重みを他モデルの学習に使用しないと明記している。
利用開始の方法として、SageMaker Python SDK(Linux・macOSでPython 3.10〜3.12に対応)をインストールしてクックブックをクローンするIDEでの方法と、SageMaker Studioで20秒以内に開発環境を起動する方法の2通りが案内されている。コーディングエージェントとしてKiro・Claude Code・Codex・GitHub Copilotとの連携が可能とされている。
SageMaker AI「training sessions」の主な仕様・数値
- 提供形態:一般提供(GA)
- 対応モデル:gpt-oss-20b、gemma-4-31B-it、Qwen3.6-27B、Qwen3.8-27B
- 対応ポストトレーニング手法:SFT、DPO、RLVR、RLAIF、マルチターンRL
- ファインチューニング方式:LoRA または フルファインチューニング
- 料金体系:処理トークン数に応じた従量課金(報酬関数スコアリング中は課金停止)
- 対応IDE内環境:Linux・macOS、Python 3.10〜3.12
- SageMaker Studio起動時間:20秒以内
- 連携対応エージェント:Kiro、Claude Code、Codex、GitHub Copilot
出典: AWS Machine Learning Blog(公式ブログ)
なぜ重要か(編集部の分析)
編集部の見方では、このサービスの意義はモデルカスタマイズの「高度な制御」と「インフラ運用負担ゼロ」を両立した点にある。これまでは独自の報酬関数やマルチターンRLを実装しようとすると、GPU クラスター構築・分散設定・障害対応を自前で行う必要があった。training sessionsはその運用コストを払わずに研究者・開発者が学習ロジックの本質に集中できる環境を提供する。ImagineSoftwareやKarini AIの事例が示すように、医療・エンタープライズ用途での精度追求にも対応できる水準とみられる。
日本企業への示唆(編集部の分析)
編集部の分析として、日本企業にとっての実践的な示唆は以下の通りだ。独自ドメイン(医療・法務・製造・金融など)の語彙や業務ルールを組み込んだモデルを構築したい企業は、GPUインフラ調達・維持のコストと人員を最小化しながらカスタマイズに着手できる。特にRLVRやマルチターンRLは、複数ステップの業務フローを実行するエージェント開発に直結する手法であり、カスタマーサポート・社内申請処理・研究補助などへの応用が考えられる。データとモデル重みが自社管理のS3に留まる設計は、個人情報保護や社内コンプライアンス要件を満たしやすく、国内規制環境にも適合しやすい点を意思決定の際に考慮すべきだ。
背景・経緯
AWSはすでにAmazon SageMaker AIのサーバーレスモデルカスタマイズ機能を提供していた。今回のtraining sessionsはその拡張として一般提供に移行したもの。原文によれば、同機能はマルチターンRLをマネージド・サーバーレスで提供していたが、顧客から独自の損失関数・報酬シグナル・RLステージを自前のループ内で定義したいという要望が寄せられたことが、training sessions開発の背景とされている。
SageMaker AI「training sessions」についてよくある質問
Q. SageMaker AI training sessionsでは具体的にどのモデルをファインチューニングできますか?
A. 原文によると、gpt-oss-20b、gemma-4-31B-it、Qwen3.6-27B、Qwen3.8-27Bの4モデルが対応している。
Q. SageMaker AI training sessionsの料金はどのように計算されますか?
A. 原文では、SageMaker AIが処理したトークン数に応じた従量課金とされている。ユーザー環境内で報酬関数がバッチをスコアリングしている間は課金メーターが停止する仕組みで、容量の事前予約は不要とされている。
Q. SageMaker AI training sessionsを使う際、学習データやモデルの重みはAWSに利用されますか?
A. 原文でAWSは、ユーザーのデータやカスタマイズ済みの重みを別モデルのトレーニングに使用しないと明記している。データはユーザーが指定したAmazon S3バケットに保管される。






