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Chronos-2活用でUmiosが販売計画AIを構築、年間4,200時間削減見込み

公開:2026年10月18日, 最終更新:2026年10月18日

Umios株式会社(旧マルハニチロ、2026年3月に社名変更)は、Amazon SageMaker JumpStart上の時系列基盤モデル「Chronos-2」を活用した販売計画AIを構築し、業務用流通事業部の全支社で年間約4,200時間の作業削減を見込んでいる。同社とAWSが共同執筆したブログ記事で実装の詳細が公開された。

30秒サマリー

  • Umiosが食品業界向けにChronos-2で販売計画を自動化、年4,200時間削減を見込む
  • 定番品の年累計総計ベースで予測精度95%を達成、特徴量エンジニアリングが奏功
  • 「AIより先にデータと運用の整備」が成功の鍵と位置づけ、業務改善と並走導入

Chronos-2導入の経緯と実装内容

Umios株式会社は冷凍食品を中心に業務用流通事業と市販用冷食事業を展開する食品メーカー(創業146年)。販売計画管理システム「PPPlan」上の管理データは約470万セルに上り、全国の営業担当者が毎月手作業で入力する体制が限界を迎えていた。同社はまず生成AIチャット基盤「UmiChat」(Claude Sonnet 4ベース)でLLMによる需要予測のPoCを実施したが、再現性やシステム組み込みに課題があったため、AWSの提案によりChronos-2に切り替えた。

Chronos-2はAmazon Scienceが開発した時系列基盤モデルで、膨大な時系列データで事前学習済み、API呼び出しのみで推論が完結し、Amazon SageMaker JumpStartから数クリックで実行環境を準備できる点が採用の決め手となった。PoCでUmiChatとの比較検証を行い、Chronos-2が上回る予測精度を示したことで本格PoCの実施を決定した。

AWSアーキテクチャは既存の実績DB・BIツールに変更を加えず、外側にAI予測を追加するシンプルなサーバーレス構成を採用。Amazon SageMaker JumpStart(Chronos-2エンドポイント)、AWS Step Functions、Amazon EventBridge(日次スケジュール)、Amazon S3を組み合わせ、予測値を日次で更新する仕組みを構築した。Chronos-2は確率予測(P10/P50/P90)を返すため、担当者が10日間の確認期間で最終確定する運用とし、AI任せにしない役割分担を事業部と合意した。

PoC初期は季節性商品でWMAPE 62.57%にとどまったが、Month列を特徴量に追加することでWMAPE 20%へ大幅改善した。また、処分販売データを学習対象から除外する「需要のみを学習」する工夫、学習期間を3年に拡張する施策も精度向上に寄与し、定番品の年累計総計ベースで95%の予測精度を達成した。

Chronos-2を活用した販売計画AIの主な数値

  • 作業削減見込み(業務用流通事業部全支社):年間約4,200時間
  • 管理データ規模(PPPlan):約470万セル
  • 予測精度(定番品・年累計総計ベース):95%
  • 精度改善例(季節性商品・WMAPE):62.57% → 20%(Month列追加後)
  • 事業部が設定した許容受容ライン:60〜70%(商品別×倉庫別×販売課別・月次粒度)
  • 目標精度:特徴量エンジニアリング後に80〜90%を目指す計画
  • 予測更新頻度:日次

出典: aws.amazon.com

なぜ重要か(編集部の分析)

編集部の見方として、本事例が示す最大の示唆は「AIモデルの選定よりも、データと運用の整備が予測精度を左右する」という点だ。Chronos-2自体は事前学習済みで即日利用可能だが、処分販売データの除外・商品コード改廃への対処・入力フォームの統一といった地道な運用設計なしには高精度は得られなかった。食品・製造業に限らず、属人的な計画業務を抱える企業がAIを導入する際の典型的な落とし穴と対策が整理されており、実務参照価値が高い。

日本企業への示唆(編集部の分析)

編集部の分析として、日本の食品・消費財メーカーにとって本事例は即座に参照できるロードマップになり得る。まず「AIありき」で進めるのではなく、入力データの統一・マスターデータ整備・異常値の定義といった業務プロセス整備を先行させることが重要だ。Chronos-2はSageMaker JumpStartから数クリックで試験導入できるため、PoC費用・期間は従来のカスタムモデル開発より抑えられる。一方、商品コードの世代交代や処分販売スパイクなど食品業界特有の「データの罠」は自社でも洗い出しが必要であり、DX推進部門と事業部門の緊密な協業体制の構築が前提条件となる。

背景・経緯

Umios株式会社は旧マルハニチロが2026年3月に社名を変更した食品メーカー。同社はすでに全社展開の生成AIチャット基盤「UmiChat」(Claude Sonnet 4ベース)を保有しており、AI活用の下地はあったが、LLMの時系列予測への適用に限界を感じてChronos-2へ転換した。本プロジェクトはUmios株式会社の業務用流通事業部・DX推進部、Umiosテック株式会社、AWSの4社協業体制で推進された。

Chronos-2についてよくある質問

Q. Chronos-2とはどのようなモデルで、どこから利用できますか?

A. Chronos-2はAmazon Scienceが開発した時系列基盤モデルで、膨大な時系列データで事前学習済みのため個別モデル構築が不要。Amazon SageMaker JumpStartから数クリックで実行環境を準備でき、推論はAPI呼び出しのみで完結する。

Q. Umiosの事例でChronos-2はどの程度の予測精度を達成しましたか?

A. PoCで対象とした定番商品の年累計総計ベースで95%の予測精度が得られた。季節性商品では特徴量にMonth列を追加することでWMAPEが62.57%から20%へ大幅に改善している。

Q. Chronos-2導入でUmiosが直面したデータ上の課題は何ですか?

A. 処分販売による異常値スパイクが需要と混同されること、および食品業界特有の商品コード(JANコード)の世代交代により販売履歴が分断される問題が挙げられている。前者は処分販売データを学習対象から除外して対処した。

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